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本当に必要な補償とは


その日、平成7年1月17日も私はいつも通り保険会社へ出勤していた。

そう、「阪神淡路大震災」の日である。



私は北のある支店にいたので特別な大騒ぎは見てないし
どんな対応をするのか、できるのかも全く想像できなかった。

全てが初めてのことでテレビやラジオのニュースに
耳をかたむけるしかなかった。

始めは震度6、そして震度7、死者数十人、
数百人とどんどん事態は悪化している。

そしてテレビの映像を見て愕然とした。



「これが日本か!」 


「戦争かー!」



何度もそうつぶやいたが、全て実際の映像で事実だった。

その後、数日の間に地震保険の追加契約の申し込みが幾つもあった。

「殺到」というほどではないが、滅多に電話しないお客さんが
慌てて電話してきたり、わざわざ店舗まで申し込みに来る人もいた。

普段はお客さんが来店することなどまずないので
みんなこの反応にはびっくりしていた。




それから数日後、私が所属していた支社では
毎朝の朝礼で社員が3分間スピーチをしていた。

その日は身長が高くちょっと強面の先輩がスピーチの番だったのだが、
その先輩がなぜか泣いていた。

話を聞いているとどうやらその先輩は阪神淡路大震災の後、
集合マンションなどに地震保険のチラシを配っていたらしい。

それ自体は全然悪いことではないし私もよくやっていた。
ところがその行為に対してある住民の人からクレームがあったらしい。



「こんな大変な時に地震保険の宣伝をするなんていやらしい!」

「困っている人がいるんだから保険を売る前に何かしたらどうなの!」



という内容だったらしい。

確かにそれはもっともかもしれないが、その反面、
地震保険に入るために来店する人もいた。

我々保険営業マンは、お客さんからお金はもらっているが
お客さんには何も売っていない。

いや、我々は「紙切れ」を売っているのだ。

そう、お客さんから何万円、時には何百万円ももらいながら
渡すものは紙切れだけなのだ。

これは損害保険だけではなく生命保険も同じ。

特に生命保険は一生の内に何百万円も何千万円も払うのに
お客さんの手に渡るのは紙切れ一枚。

お客さんは何のためにお金を払っているかというと
「何かあったときのため」に大金を払っているのだ。



話は逸れたが、その先輩も多少
「こんな時にどうかな…」と言う気持ちもあったそうだが、
「こんな時」だからこそ本当に必要なものを認識してもらえるチャンスだと
思うことが悪いことなのだろうか…

と泣きながら訴えていた。

確かにあの地震がある前は「この辺は地震なんかないでしょう」
の一言で地震保険を付けるお客さんは皆無に近かった。

しかしあの地震、さらには新潟中越地震があってからは
地震保険に加入する人が急増した。



「保険は種類が多すぎてよく解らない」

「本当に必要な補償がどのくらいか解らない」



と言う声をよく聞く。

それは売る方の我々も同じである。

保険と言うのは人それぞれによって必要性や価値観が違うので
「隣の○○さんが入っているから」という理由で入るものではない。

それぞれの家族状況やお客さんの希望を聞きながら本当に必要な、
最低限必要な保険をすすめられるよう
我々「保険屋さん」は日夜勉強しているのである。


だからもう少し「保険屋さん」のことを信用して欲しい。
もちろん悪い保険屋さんも中にはいるかもしれない。
でもそんな奴は今後の保険業界では生きていけない。

そういうシステムを保険会社が今まさに作っている。
我々「保険屋さん」はその狭間で生き延びているのである。

平成17年1月18日
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