地震保険の加入率と付帯率

保険屋さんのひとりごと

火災保険の特約である「地震保険」は、補償される限度額が少ないので、地震で壊れた時に直せないなら入らなくてもいいや、思う人は多いかもしれません。

確かに「地震保険」は火災保険より料金は高いのに、もらえる限度額は低く抑えられ、ガラスやお皿が1枚割れたなどの小さな損害だけでは補償されません。しかも、火災保険とセットじゃないと加入できない仕組みになっていることも面倒に思う要因かもしれません。

 

そうは言ってもお客様に地震保険の話をすると、多く方が「どのくらいの人が地震保険を付けてるの?」とよく聞かれます。

地震保険は、2020年度のデータによると全国平均で68.3%の付帯率となっており、2001年度の33.5%から2倍以上の増加となっております。

 

では、日本の住宅の3分の2が地震保険に入っているのか、というとそうではない。

先ほどの68.3%というのは「付帯率」なので、2020年度に契約した火災保険にどのくらいの地震保険が付いていたのか、というデータである。ということは、2001年度に火災保険に入った人達の付帯率は33.5%なので、当時の契約は3分の1しか入っていないことになります。

では、実態として地震保険に入っている率はどうなのか、というデータが「世帯加入率」になるのだか、こちらは2020年度が33.9%なので先ほどの付帯率の半分以下となってしまいます。

 

では、結局のところ地震保険に入っている住宅は3分の1なのかというと、そうでもない。

この世帯加入率は民間の損害保険会社のデータから算出しているので、共済組合などの地震を保障する部分は加味されていない。共済組合の地震保障はその団体により異なるので、一律にデータを取るのは難しいらしいです。

ただ、政府の内閣府が2011年度に集計したデータによると、日本の住宅の地震保険世帯加入率は49%になるらしいです。損害保険会社の加入率は2011年度から2020年まで7%上昇しているので、恐らく現在は56%以上あると推測されます。

実際のところ、この内閣府のデータも推計値なので本当にどのくらいの住宅に地震保険が掛かっているかのは分かりません。

加入率は世帯を分母にしておりますので、別宅や別荘は含まれておりませんし、地震保険は建物と家財を別々に契約することも出来るので、正確な加入率を算出するのは不可能でしょう。

 

最初に書いたように、地震保険は入っても意味がないと思っている方が居る一方で、大きな地震災害に遭った人にとっては地震保険は絶対に必要と思っている人は多いと思います。

何故なら、地震が原因で建物が破損した場合は、火災保険からは1円ももらえません。それは津波の場合も同じです。

地震が原因で火災になり半焼以上となった場合は、地震火災費用がもらえるかもしれませんが、それも火災保険の5%なので1000万円の保険に入っていても50万円です。半焼ともなれば数百万円もの修復費用が掛かりますし、その間の仮住まいの用意や家財道具の購入、更には引っ越し費用も必要になります。

そんな時に、地震保険から数百万円がもらえたとしたら、当面の生活費はもちろん、仮住まい費用や最低限の家財道具の購入に充てることで、ひとまず安心できるのではないでしょうか。

しかも、地震保険は火災保険に比べると査定も保険金の支払手続きも、とてもスピーディーに進められますので、困っている時に受け取ることが出来るのは心強いことでしょう。

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