テレビやインターネットでは、多くの保険会社が様々なCMを展開しています。安さや新商品の魅力をアピールする会社もあれば、事故対応や信頼感を重視したサービスを強調する会社もあります。このように、消費者は多様な選択肢の中から保険会社や商品を選ぶことができます。
しかし、その一方で、保険会社から加入や継続を断られたり、希望する条件で加入できない人がいることをご存知でしょうか?
保険料金が人によって違う理由
保険の料金は、個人のリスクに応じて大きく異なります。これは公平性を保つためであり、高いリスクを抱える契約者には高い料金を、低いリスクの契約者には低い料金を設定するのが一般的です。
具体例
-
生命保険:年齢や過去の病歴によるリスク評価
-
自動車保険:車の種類、主に運転する人の年齢、過去の事故歴など
-
火災保険:地域や物件の築年数など
これらの料金設定は、過去の事故データに基づいていますが、個人の履歴に応じた料金設定を行う場合もあります。
個人の履歴による引き受け制限
保険会社は、契約者の個人履歴をもとに免責や不担保などの条件を設定することがあります。場合によっては「引き受けを見合わせます」として契約を断ることもあります。
用語の説明
-
免責:一定の自己負担額を設定し、その範囲内では保険が適用されない。
-
例:免責額5万円の契約で20万円の損害が発生した場合、契約者が5万円を負担し、残りの15万円を保険会社が支払う。
-
-
不担保:特定の条件や範囲が保険の適用外となる。
-
例:生命保険で胃腸の病気は5年間適用外、水濡れ事故を補償しない火災保険など。
-
保険の加入条件が改善されるケース
医療技術の進歩により、生命保険においては「引き受けの見合わせ」が減少する傾向にあります。例えば、がん治療が終了し一定期間が経過した場合や、高血圧を薬でコントロールされている場合でも加入できることが増えています。
自動車保険では、業界共通のノンフリート等級制度により事故歴が反映されます。ただし、事故が続いた場合や基準を超える回数の事故を起こした場合、条件付きの契約や継続不可となることもあります。
火災保険の引き受けに関する課題
火災保険では、病歴や事故歴とは異なり、本人の責任がない災害が原因で保険を利用することがあります。そのため、事故歴を理由に継続を断るのは難しい部分もあります。ただし、水道管の破裂や雪害による破損など、日頃のメンテナンスでリスクを減らせる場合は、継続が拒否されることもあります。
例えば、水漏れが原因による事故が多い契約者には、契約期間の短縮や水濡れ事故は不担保といった条件が付けられるケースがあります。また、修理や対策が講じられていない場合、契約の継続が拒否されることもあります。
不正行為が引き起こす影響
最近では、火災保険が使えると称してリフォーム契約を迫る業者や、事実と異なる事故報告で保険金を詐取するケースが増えています。こうした不正行為の増加により、火災保険の料金が値上がりしたり、加入が難しくなることが懸念されています。
現在、火災保険には自動車保険のような業界共通の事故データ活用制度はありませんが、マンション管理組合が共用部分に掛ける火災保険では、事故件数に応じた割増引き制度が導入されています。
いくら災害や偶然の事故とはいえ、大きな補償を受けた人と同じ料金では不公平に感じる人もいるでしょう。そのため、火災保険にも事故履歴を活用した割増引き制度の導入が期待されます。
保険に関する選択肢や課題を理解し、自分に合った契約を見つけることが大切です。特にリスク管理や契約内容の確認をしっかり行い、安心して生活を送れる保険を選びましょう。
コメント